肺動静脈瘻手術(塞栓術)の体験記

肺動静脈瘻塞栓術

肺動静脈瘻 はいどうじょうみゃくろう

※肺動静脈瘻の手術体験記ですが、長文となっています。

”きりぎりす”は、2019年4月に左肘関節脱臼骨折/左橈骨遠位端骨折の手術をしています。

手術予定 手術日記、左肘関節脱臼骨折/左橈骨遠位端骨折 入院から手術の日

それから5年も経っていないのに、またしても手術となりました。
プレート除去手術をしてからは、たったの3年ですよ。
ったく・・・

肺動静脈瘻とは

瘻(ろう)という漢字を瘤(りゅう)と読んでしまうと別の病気になってしまいます。

動脈瘤とか静脈瘤とかは、名前としてはよく聞くと思います。
でも、

瘻って何?

”きりぎりす”も病気になるまでは知りませんでした。
肺動静脈瘻は、珍しい病気なのです。

ふつう動脈は静脈に直接つながっておらず、その間には毛細血管があります。
動脈には脈があり、血圧があるのですが、それがいきなり静脈に流れるとずいぶんな力を受けてしまうので
その中間としてあるのが毛細血管

なのに、この毛細血管がなくて、動脈から静脈につながってしまったのが

瘻なのです

静脈は、激しい流れを受け止めるために変形した奇形となります。
つまり、肺の血管が奇形したのが肺動静脈瘻

肺動静脈瘻の発見

この病気には、自覚症状がありません。
”きりぎりす”の場合、全く異常を感じていなかったのです。では

なぜ、肺動静脈瘻が発見されたのか?

肺動静脈瘻発見までの経緯

今年の春、新型コロナに感染しました。

新型コロナ感染体験記 ついに新型コロナになった、ワクチン接種回数ゼロでの症状

その少し前から、咳が出ていたので

「咳が止まりません」

と申し出て、コロナ患者のCT検査が行われました。
その結果、コロナがどうこうではないけど、療養期間が終了したら病院に来るよう指示されました。

肺に異常?

もしかして、あれのことかな?

”きりぎりす”がプレート除去をしたとき、新型コロナの時期だったこともあり
入院患者は、全員CT検査を受けました。

そして、退院のときに担当の先生から

「肺のここに異常があるから、症状がないのならいいけれど、一応書類を渡しておきます」
と検査結果の記載された紙をもらいました。

なので、コロナ明けにはその紙を持って、病院へ行ってみました。

すると、それより10年も前
”きりぎりす”は、職場の健康診断で肺に異常があると指摘され
その病院でCT検査を受けていたことがわかりました。つまり

2011年 健康診断で経過観察、CTでの異常発見も経過観察

2020年 たまたまCT検査で肺に異常、症状が出たら病院へ行くよう指示

2023年 コロナでCT検査、異常を指摘

病院では、持参した紙の内容と一致
しかし、ここでは
もう一度検査をして、場合によれば手術した方がいいと言われ

「し ゅ じ ゅ つ・・・・・」

いやいや症状もないし、経過観察でいいだろうと考えていたのですが

造影剤を使っての肺CT、そして脳のCT、心電図

その結果、

「脳に虚血の部分があります」

「き ょ け つ???」

その先生は、大阪では専門に治療している病院は3つしかなくて、どれがいいかと質問し
とっとと紹介状を持って大きな病院へ行かなければならなくなりました。

脳血管内治療科を受診

虚血というのは、脳梗塞
脳梗塞の跡が2つばかりあると言われました。

ひえぇぇぇぇーん

脳梗塞なんか起こしていたのか、こわっ

そして、ここでも造影剤のCT検査を行うことになりました。
これは、手術に向けての精密検査という感じです。

脳梗塞の跡がある頭の検査はせず、とりあえず肺の血管異常の治療ということで。

頭のMRIをしたら、もっと異常が見つかったりしないのか?
と心配でした。

肺動静脈瘻の影響

肺動静脈瘻というのは、肺だから呼吸器系に異常が出るのだろうと思いますが
担当しているのは、脳血管内治療科というふうに

脳に症状が出るのです

  • 脳梗塞
  • 脳膿瘍(のうのうよう)

この2つが典型的なもので、脳梗塞についてはすでに跡があるということなので、症状が出ているのかも。

脳膿瘍は、細菌を処理してくれる毛細血管がないことから、脳に細菌が飛んでいってしまう病気
症状としては

頭痛、吐き気、嘔吐、異常な眠気

この異常な眠気って、もしかして・・・
”きりぎりす”は、度々眠気に襲われます。
よく食後に眠くなるとか言いますが、食後であろうといつであろうと、何をしていようと
寝落ちしそうになります。

本人は真剣に調べ物をしていたりするのに眠いので、睡眠不足なのか更年期なのかと思っていましたが

これって症状が出てる?

肺動静脈瘻塞栓術

手術するべきか、やめるべきか

なぜ迷うかといえば、困った症状がないから

手術というのは、どこかに不都合な、悪いことが起こっているからですが
何も困っていません。

なのに、手術して今以上に悪くなったらどうする?

病名を言い渡された人が、この問題に悩むのは確実です

手術することに決定したのは、脳の病気になるのが嫌だからです。
脳の病気って、一刻を争う状況だったり、その後体が不自由になったり
周囲にそういう知り合いが、そこそこいる、そんな環境では

MEMO

マキャヴェリの名言

やらぬ後悔より
やる後悔

これは、”きりぎりす”のポリシーでもあります

ネットで検索しても、珍しい病気なだけに、体験談など1つもありません。
そこで、じゃじゃ〜ん

”きりぎりす”が体験談を書きましょう

入院

3泊4日の入院

ちょっとした旅行に出かけるように、ガラガラを引いてやって来ました。

午後1時

病棟は12階
その日は、たまたま同室の人がいないので、個室状態

4日ほど前に先生の説明を聞いているのに、着いたら説明があるとのことで
別室で先生のお話

その後、病棟の説明を聞きつつ、X線検査と心電図の検査

おむつかT字帯を購入するように言われ、おむつの方が安いかと考えて購入したけれど
2枚ならT字帯の方が少し安かったです(ま、いいか)

この病院は、入院ボケの検査があり

  • 生年月日
  • 今日の日付
  • 病院の名前など

1日何回か質問されます。

X線検査

心電図

入浴

爪切りと毛の手入れはしてあるので、省略

明日に備え、点滴の針を付けられます。

夜中に暴れて外さないよう気をつけなくっちゃ。

病室からの景色

病室からの眺めは、なかなか
夜景もきれいです、飛行機も入れました。

病室からの夜景

右側は、病室のカーテンが映り込んでいます。

病院は、寒くてパジャマだけでは困りました。
入院するときは、カーディガンなど上着を忘れないようにしましょう。

誰もいないので、エアコンのスイッチをオフにしましたw

手術当日

朝食 なし

7時過ぎに尿の管をつけるということなので、便をすませます。
血流を良くする薬と、胃薬服用(前日の夜にも服用)

手術後は個室になるので、荷物をまとめる。

点滴開始
(接続はされていたけれど、液は落ちてなかったよう?)

8:30過ぎ 手術室に移動

手術室は、明るいランプが

手術中

と点灯するのですが、”きりぎりす”が入ったのは

血管撮影・治療室

手術室と違うのは、天井に明るい照明があるのではなく
特に、開始してからは照明をやや暗くします。

この部屋は、一段と寒い

ほぼ全裸状態なのに、万歳した姿勢で行うので

「寒い」

と言うと、腕にタオルを掛けてくれました。

8:45 手術開始

右足付け根に、局所麻酔でカテーテルが入ります。
全然痛くないのかと思っていたのに

ううっ

って感じで痛かったです。
心臓を通過して肺に入って行くのですが、全くわかりません。

何回が造影剤を入れた撮影があります。

手術の後半になって、何やら喉がイガイガしてきました。

やがて咳になり、咳き込むほどひどくなりました。

咳なんか手術の邪魔になるのでやめたいと思っても、それはどんどん激しくなり

「大丈夫か」

「痰を出すか」

とか言われたけど、痰が出そうなわけでなく、とにかく咳が止まらない

予定の11時を少しオーバーして、手術は終了しました。

咳の原因は、造影剤か治療で肺をいじってるからかだろうとのこと

病室に帰ってしばらくすると、落ち着いてきました。

手術後

心電図や呼吸のモニターを付けます。

手術後、1時間ほどで昼食

食べられるかと心配したけれど、結構食べられました。

3時間の安静後

食事ができたのだから、歩くこともできるだろう
歩く練習をしてもよいとのことで、尿の管を外してもらったのですが
トイレに行こう立ち上がったら、血の気が引いて無理でした。

へなへなへな〜

それから2時間ほど

次の歩行練習は問題なくできました。
院内にあるコンビニに行くのもOKです。

手術した右肺の後側が痛む可能性があると言われましたが
痛みは全く出ませんでした。

夕食も通常通り食べられました。

呼吸モニターは、翌日の朝まで続けられ、夜中には数値が下がっているからとのことで
ベッドの頭部分を上げられました。
(90を割っていたそうです)

快適なMRI検査

手術後1日目

  • X線検査
  • MRI検査

この2つがあると、連絡がありました。

MRIの恐怖 MRI装置に閉じ込められて月曜日に救出、こんな恐怖に耐えられる?

MRIは、こんなこともあり ↑
だんだんと苦手になってきているので、担当の先生に

MRI検査は、口から心臓が出そうになります

じーな

と、言ってありました。

「じゃあ、薬飲んでもらうね」

ってことで、何やら1時間前に薬を飲まされました。
MRI検査の部屋へ行くと、意外に開放的で明るい

2人がかりでテキパキと機械に押し込まれ

むむっ 問答無用の世界か?

「映像を見ててくださいね」

映像?

中には、お魚の映像が流れていました。
これは画期的!

ファイティング ニモちゃんと同じだな

なんて思っただけで、気がついたら

「はーい、終わりましたよ」

ありゃ、眠ってしまったか

でも、これなら全然苦痛じゃない
苦手な方は、こんなMRIにしてもらえるかもしれないので、申し出てみましょう

↑ これは、お勧め

病院の昼食

肺動静脈瘻塞栓術の退院後

手術後2日目

2日目には退院となります。

点滴
最終点滴は、抗生剤

採血
手術前日も、結構な量でしたが、さらに増えていました。(吸血鬼!)

前日のX線検査と MRI検査に異常がなかったことを聞いて、退院です。
飲み薬とかもありません。

手術後の感想

手術して1週間、今のところの変化について

メリット

体温が上がった
平熱は35度少しと36度になることがなかったのですが、現在は36度を超えました。
なんとなく健康になったようでうれしい

機能的酸素飽和度が上がった
パルオキシメーターの数字が少しだけ 96→97・98
上がりました。

デメリット

出血
手術後4日目に咳をしたら、血の塊が出ました。
レバーみたいな物体です。
次の診察で聞いてみますが、考えてみると
手術中に咳が出たのは、造影剤の影響ではなく、気道内に出血が入ったからなのだと思います。

肺の辺りに違和感
まだ1週間という段階ですが、あおむけになってエア自転車(ときどきしている)
これをすると、右肺のあたりに違和感を感じます。

もうしばらく、やめておくことにしました。

このメリット、デメリットについては、今後追記して行くつもりです。
しかし、カテーテルの治療というのは、あそこ丸出しですな。
もうちょい隠して、入る部分だけ見るのかと思ってましたけど、かなり恥ずかしいですw

これから手術を受ける方、とても心配だと思うので参考にしてください。

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